「未解決事件は終わらせないといけないから」クリアしました。
Steamで800円。開発元は韓国ですが多言語に対応していて、基本的に違和感のない翻訳でプレイできます。というか海外制作だと気付かなかったくらい。
主人公は清崎蒼、元刑事。未解決の
「犀華(せいか)ちゃん行方不明事件」を引きずっていて、当時の記憶を掘り起こして整理していく一連の過程をプレイヤーがサポートします。
初めはビジュアルノベルみたいな、立ち絵や背景の変化があって文章を追っていくものかなと思っていましたが、実際はひたすら文章。悪い意味でも良い意味でもなく。
公式からスクショお借りしました。
私は思った。
これJanetterじゃね?
参考人ごとに、清崎蒼との会話が時系列順に並びます。
蒼は記憶が混濁していて、誰の・いつの証言か不明瞭なまま会話を思い出すので、
プレイヤーは話者のアイコンを変更したり、順序を並び替えてタイムラインを作っていく。これが本作のメインコンテンツ。
会話の中にある「ハッシュタグの付いた単語」をクリックすると、連想して他の会話を思い出したり。
時にはプレイヤーが何らかの日付などを入力することで解放される会話もあったり。
ネタバレなしでプレイするのが何より良いと思うので、多くは語らず…。
不満点が全くなかったわけじゃないので、全人類やってくれ!とは言わないけど、SNS風のタイムラインを整えていくっていうゲーム体験は初めてで、これがとにかく新鮮で面白くて没頭しました。記憶を消してもう1回やりたい。
以下ネタバレを含みます。
↓
不満あります!!
・
「理佐子を疑う理由3つ」難しすぎん!?
理佐子は全てにおいて怪しいんよ。貴子ともだいぶ食い違ってるし。
ここはマジで納得できてないし攻略見た。
攻略見ても納得してない。
なんでその3文が選ばれたのか分からない。
・日付入力欄に決定ボタンが欲しい
日付は各桁をクリックして0から順に繰り上げるUIになっている。
犀華ちゃんの誘拐された日付、私は2月5日だと思ったのに、日付が3に合った時点で「正解」になってしまってすごくやり切れない気持ちになった。
これ以降、入力する系のものをあまり触りたくなくなってしまった。
・オチに違和感
エンディングが2つあって、
Aエンド:2人は宮城犀華(警察官)と清崎蒼(おばあさん)
Bエンド:2人は清崎蒼(警察官)と松田理佐子(おばあさん)
私の解釈では、Bエンドが真で、Aエンドは理佐子が蒼を騙り、蒼がそれに合わせているというもの。この場合、「理佐子を救いに行こう」=「今からあなたを病院に連れていきます」と受け取れる。
そう考えないと、認知症さながらの老婆となった蒼を連れ出してまで「一緒に理佐子を救いに行こう」というのはちょっと理解しがたいし、蒼の罪の意識が深すぎて違和感がある。
とはいえ、こう解釈すると犀華を名乗る蒼が名演技すぎるのでどっちにしろ違和感はぬぐえない。ビジュアルも若すぎる。蒼は刑事課長を退いて12年経っているので、若くても50代とかじゃない?まだ警察の制服を着ているのもおかしい。
もしかしたら、あの会話が理佐子の精神世界の中だとすると、
理佐子が当時蒼と対面したときの姿が映っているだけなのかもしれない。Aエンドの会話の中で、「警察が訪問せずに済ませてしまうところ、あなた(蒼)が実際に訪問してくれたから事件が解決に向かった」というくだりがあったように、
蒼と理佐子の対面はこの事件にとって重要な出来事だったと言える。
うーん、なんか自分の中で納得できてきたぞ。でもこうやって文章化しないと気付けなかったな…。
良いところ、あります!!!
タイムラインパズルが面白い!!!
事件の全貌が見えてくると共に、制作者の愛も見えてくる…。
初めはみんな怪しく見えてたし、性格悪そうだなと思ってたし、ドロドロの家族関係だと思ってたし、絶対誰かと誰かが不倫相手で…と思ってたけどそうじゃなくて。最終的に「こいつ嫌い!」って人はいなかった。
ミステリーとしてのワクワクのピークは、犀華ちゃんが2人いたこと、理佐子の精神状態が異常なことに気付いたあたりだったかな。犀華と翔太それぞれが言う「ママ」「おばさん」の対象は誰かに注目して読み返した時間も味わい深かった。
このあたりから、みんながそれぞれ誰かのためを思って動いていて、でも不完全だったり不器用だったり、うまくいかなかったりした結果なんだと分かりはじめて、このゲームすごい…という気持ちになっていった。
「生きていてほしい」「生きていてほしかった」という気持ちから生まれた未解決事件…終わらせないといけないですか……?
制作者のメッセージを引用します。
―――――
他人に理由なく優しくしたとき
それまで存在しなかった物が 新たに作り出されて
人生のプロットが変わると信じながら
私はこのゲームを完成させた
孤独に漂う寂しさを嘆く すべてのクラゲたちに
このゲームがささやかな慰めになることを願って
―――――
☆好き―――!
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